Q&A

賃貸借契約を締結する際、親戚や知人の場合でも契約書を必ずつくる必要があるのでしょうか?また賃貸借契約書を公正証書でつくった場合どのような効果があるのでしょうか?

必ずしも契約書をつくる必要はありませんが、紛争を未然に防止するために、親戚や知人の場合でも、必ず、契約書をつくっておいたほうがよいでしょう。

トラブルを防ぐために 身内の場合でも、必ず契約書の作成を

賃貸借契約とは、建物をいくらの家賃でどんな目的や条件で貸すかということを約束することです。したがって、単なる口約束だけでも契約は成立し、必ずしも契約書を作成する必要はありません。
しかし、口約束だけでは思い違いがあったりして、何か問題が起きたときに水掛け論になることも考えられます。そんなトラブルを防止するためにも、契約内容を記載した契約書を作成することが必要です。特に親子や兄弟姉妹の間では、身内だからという理由で契約書を作成しないことがありますが、身内であるほど、一旦こじれると紛争は泥沼化する傾向がありますので、必ず契約書を作成しましょう。

賃貸借契約を公正証書にしておけば、借主の財産に対して強制執行が可能に

ところで、賃貸借契約書を公証人に作成してもらい、公正証書にしておくことができます。
これは、契約書に記載された内容が公証人によって証明されることになるので、契約当事者(貸主と借主)は契約書の内容について、十分に理解して契約に調印したであろうと判断され、紛争を未然に防止することが可能となります。また、公正証書にしておけば、借主が家賃を滞納した場合、裁判所に訴えを提起することなく、直ちに借主の財産に対して強制執行することが可能となります。ただし、公正証書を作成していても、家主としては借主の財産に対して強制執行することができるだけであって、借家の明け渡しまで強制することはできません。
裁判所に訴えを提起することなく、借家の明け渡しの強制執行ができるようにしておくためには、即決和解条項を記載した書面を作成の上、簡易裁判所に申し立て(提出)を行ない、貸主と借主の両者で調印を済ませておけば可能となります。
(Owners誌2005年3月号より)