Q&A

近くに大学がある関係から、入居希望者の中には未成年の大学生が多くいます。未成年者の場合、契約を取り消すことができると聞きました。契約する際、どのような点に注意したらよいでしょうか?

大学生の両親に、連帯保証人になってもらうとよいでしよう。

未成年者が賃貸契約を結ぶには、父母の同意が必要となる

未成年者が賃貸借契約を締結するためには、法定代理人の同意を得る必要があり、その同意を得ていない場合、未成年者(法定代理人を含む)は賃貸借契約を取り消すことができます(民法4条2項)。法定代理人とは、未成年者の場合、親権者すなわち父母のことをいいます。

連帯保証人は両親双方になってもらい双方の署名・捺印が必要となる

ところで、親権者が連帯保証人としてのみ署名・捺印した場合はどうなるのでしょうか。
民法は、法定代理人が担保を提供した場合には、契約を有効なものとして認めたことになり、契約を取り消すことができなくなると規定しています。これを法定追認といいます。
つまり法定代理人である両親が、賃貸借契約の連帯保証人となれば、法定代理人が人的担保を提供したことになるので、賃貸借契約を収り消すことはできなくなります。
ここで注意すべきことは、親権は父母が共同で行使しなければならないとされている点です(民法818条)。したがって、未成年者の両親双方に連帯保証人になってもらう必要があり、両親双方の署名・捺印をもらっておく必要があります。
しかし、親権者の一方、たとえば父親のみが署名・捺印していた場合はどうなるのでしょうか。
この場合、両親のうち一方が同意をしていれは、他方が反対しても、大家さんがそのことを知らなければ、同意の効力は妨げられないとされています(民法825条)。
なお、未成年者の両親が連帯保証人となっていない場合であっても、未成年者が自分は20歳を超えているとか、両親の同意があると信じさせるような行動をとった場合には、契約を取り消すことができなくなるとされています(民法20条)。
(Owners誌2004年7月号より)