Q&A

定期借家契約を結んでいる借家人から、新築マンションを購入したので契約を中途解約したいと言われました。解約を認めなければならないのでしょうか?
中途解約する場合には、違約金を支払う旨の特約を定めておけば、違約金を請求することができるでしょうか?

中途解約を拒否することはできません。また、違約金を支払う旨の特約は無効となり、違約金を請求できません。

転勤、療養、親族の介護など、やむを得ない事情の場合は、解約できる

定期借家契約とは、期間の定めのある借家契約であり、家主と借家人が、双方で合意して解約しない限り、中途で借家契約を解約することができないというのが原則です。
しかし、その例外として、居住用の定期借家であり(床面積が200平方メートル未満のもの)、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情がある場合において、借家人が賃借建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、解約の申入れをすることができます。 借家人が、この解約の申し入れをすると、その申し入れの日から1ケ月経過した日に定期借家契約が終了することになります。
従って、家賃も解約の申し入れの日から1ヵ月後までの分を請求することができることになります。

中途解約でも、違約金を請求することはできない

それでは、ご質問のケースのように、持家を購入し転居することが「その他やむを得ない事情」のある場合に該当するでしょうか。「その他やむを得ない事情」とは、リストラや給料の削減等によりこれまでどおり家賃を支払えなくなったり、隣室に暴力団員が引越してきて安心して生活ができなくなったような場合、また持ち家を購入して転居する場合も含まれると解されています。 従って、ご質問のケースでは、中途解約が認められ、その申し入れを拒否することはできないということになります。
また、中途解約権に関する規定に反する特約で、借家人に不利益なものは無効とされています。従って、借家人が定期借家契約を中途解約する場合には違約金を支払う旨の特約を定めていたとしても、その特約は無効となり、中途解約したからといって違約金を請求することはできないのです。
(Owners誌2003年4月号より)