Q&A

最近、サラ金等から多額の借り入れをして自己破産する人が増えていると聞いています。借家人が自己破産した場合、どのように対応したらよいでしょうか?

借家人が破産した場合、家主は正当事由がなくても賃貸借契約を解約することができます。

借家人は、滞納家賃の支払い義務を免れることができる

まず、借家人が自己破産および免責の申し立をすると、破産宣告がなされるまでに発生していた債務について、ギャンブル等が原因で発生したものでない限り、免責の決定を得ることができます。その結果、借家人は、滞納していた家賃の支払義務を免れることになります。
ところで、民法621条は、借家人が破産の宣告を受けたときは、家主は解約の申し入れができると規定しています。しかし、その一方で借地借家法は、家主が賃貸借契約の解約の申し入れをするには、建物使用の必要性等の正当事由が必要であると規定しています。
そこで問題となるのは借家人が破産した場合、正当事由がなくても借家人が破産したという事実だけで、解約の申し入れが認められるのかどうかということです。

解約の申し入れから6カ月で賃貸借契約を終了させることができる

判例(最高裁昭和45年5月19日刊決)は、借家人が破産した場合、正当事由がなくても、家主は賃貸借契約を解除することができると判示しています。これは、破産宣告を受けるような借家人の場合、家主が家賃を支払ってもらえない危険性が高くなるので、正当事由まで要求することは家主にとって酷だとの考え方に基づいています。
したがって借家人が破産宣告を受けた場合、たとえそれまで一度も家賃を滞納したことがなくても、家主は契約を解除して、借家の明け渡しを求めることができます。
この場合、民法621条を通用して家主が解約の申し入れをしてから3カ月で借家契約は終了するという見解と、借地借家地法27条を適用して解約の申し入れから6カ月で借家契約が終了するという2つの見解がありますが、判例(東京高裁昭和63年2月10日)は後者の見解を採用しています。
ただし、特約があれば3カ月でも解約することができます。
(Owners誌2004年6月号より)