Q&A

家賃の不払いが続いているので、契約を解除したいのですが、手続きを教えてください。

滞納家賃を一定の期間内に支払うように催告し、その期間内に支払わない場合に、契約を解除する旨の意思表示をします。

催告の猶予期間は、5日から1週間

契約を解除するためには、まず一定の期間を定めて、滞納家賃を支払うよう催告する必要があります。催告期間は、3日間を相当とした判例もありますが、実際には、5日から1週間程度の猶予期間を定めている例が多いようです。
ところで市販の契約書には、催告をしないでも契約を解除できるとの文言が、印刷されているものがあります。このような無催告解除特約の有効性について判例は、「催告をしなくても不合理とは認められない事情」が存在する場合には有効であるとしています。
たとえば、借家人がこれまでに度々支払いを延滞したために、この特約を結んだというような事情があれば、無催告解除特約も有効と解されます。しかし単に、市販の契約書を使用しただけの場合には、有効と解することはできないと考えられます。

契約解除後に、家賃が支払われた場合

次に、催告期間内に滞納家賃が支払われなかったことが、解除の要件となります。しかし、実際には契約を解除してから、あわてて支払ってくることもあると思います。この場合、論理的には、既に契約解除の効果が発生しているため、何の影響もないとも考えられます。
しかし、解除権を発生させるためには、当事者間の信頼関係が破壊されたことが必要であるというのが、確立された判例です。従って、解除の意思表示を行った後であっても、滞納家賃を支払ったという事実が借家人に有利に働き、場合によっては、契約解除が認められないこともあるでしょう。
最後に、当然のことですが、解除の意思表示を行うことが必要です。支払催告と同時に、たとえば「1週間以内に延滞貸料を支払ってください。もし、その期間内に支払いがない場合には、契約を解除します」と明記しておくと、催告期間が経過した時点で、契約解除の意思表示がなされたことになります。契約解除の意思表示は、必ず内容証明郵便で行いましょう。
(Owners誌2003年8月号より)