Q&A

借家人が家賃を1年間分滞納したまま、行方不明となっています。滞納した家賃を連帯保証人に請求しようと思ったら、連帯保証人は半年前に亡くなっていました。連帯保証人の相続人に請求することはできるでしょうか。

家相続人が相続放棄をしていない限り、滞納家賃を請求することができます。

連帯保証人が亡くなった場合、滞納家賃は相続人に請求できる

まず連帯保証人が亡くなる前に発生していた滞納家賃は、相続人が支払い債務を相続することになります。しかし、連帯保証人の死亡後に発生した分についても、相続人が支払い義務を負うか否かについては見解が分れます。
もし相続人が連帯保証人としての地位を相続しないならば、連帯保証人が亡くなった後の債務まで負う(支払う)義務はないことになります。最高裁の判例によれば、連帯保証人が亡くなっても、連帯保証債務は消滅せず、相続人がそれを相続することと判示しています。
したがってご質問のケースでは、滞納した家賃が、連帯保証人が亡くなる前のものであっても後のものであっても、大家さんは、その全額を連帯保証人の相続人に請求することができることになります。
しかし、相続人が相続放棄の手続きを取っていれば、借家人が滞納した家賃を請求することはできなくなります。ただし相続放棄の手続きは、相続開始(連帯保証人の死亡)を知った時から3カ月以内にしなければなりませんので、本当に相続放棄をしたかどうか、家庭裁判所に問い合わせてみることも必要です。

相続人が複数いた場合、そのだれに対しても支払い請求ができる

ところで相続人が複数いる場合、だれにいくら請求したらよいのでしょうか。相続人同士の間で、Aさんという一人の相続人が滞納家賃の支払い債務を相続するという(遺産分割)協議をした場合、その他の相続人には請求できないのでしょうか?もし、そのAさんに資力がない場合、他の相続人に請求できないとなると、大家さんは結局、支払ってもらえなくなります。そこで判例は、遺産分割協議の内容に関わらず、複数の相続人のうち誰に対しても、滞納家賃を全額、請求することができると判示しています。
(Owners誌2004年3月号より)