Q&A

家賃滞納が続く借家人が家財を残して行方不明に。連帯保証人に家財を搬出するように言ったところ「家主のほうで処分してほしい」と言われ、どう対処したらいいか困っています。

連帯保証人に処分してもらうのがベスト。それができない場合は必ず連帯保証人の念書を取ってから処分しましょう。

本来は借家人の承諾無しに家財の処分はできない

家賃は家財を処分して借家を明け渡すまで発生し続け、その間、連帯保証人も責任を免れることはできません。しかし、家財を処分するには借家人の承諾を得る必要があるため、借家人が行方不明の場合は本来、法的手続きを取らない限り、だれも無断で家財を処分することはできません。法的手続きを取るには時間と費用がかかり、その間は部屋を貸すこともできず、また家財を別の場所に保管するにも経費がかかります。このようなことから、早く明け渡しを敢行することが必要となる場合もあるでしょう。

連帯保証人に必ず念書を入れてもらう

法的手続きを踏まない方法は積極的にはおすすめできませんが、どうしても必要なときは家財の処分を連帯保証人に行なってもらうのがベストです。その際、連帯保証人に念書を差し入れてもらい、「搬出した家財は連帯保証人が責任をもって保管・処分し、後日、借家人からクレームが出た場合は連帯保証人の責任で解決し、家主には迷惑をかけない」旨の文言を書いてもらっておくとよいでしょう。もし、連帯保証人から家主のほうで処分してほしいと言われた場合は極力、連帯保証人に処分してもらうよう説得してください。それでも難しければ、最低限「家財の搬出・処分は連帯保証人に代わって家主にお任せします」旨の念書を差し入れてもらうことが大切です。念書があれば、連帯保証人から依頼されて処分したことになるからです。
ちなみに法的な手続きを取る場合は
1.簡易裁判所に文書で契約解除の意思表示の申し立てを行なう。
2.地裁に明け渡しと滞納家賃の支払いを求める裁判を起こす。
3.裁判確定後、明け渡しの強制執行を求める。
4.執行官によって売却できない家財は賃貸人が保管する。
という手順を踏むことになり、かなりの時間を要します。法的手続きを取らずに家財を処分した場合、訴訟を起こす借家人がゼロとはいえません。借家人は滞納家賃を支払う義務があるため、訴訟を起こすケースはごくまれです。大家さんには、放置家財の処分はそれほどやっかいな問題だということを知っておいていただきたいのです。
(Owners誌2006年12月号より)