Q&A

外国人から、アパートを借りたいとの申し入れがありました。外国人であることを理由に契約を拒むことはできるのでしょうか?

家主は、誰と賃貸借契約を締結するかについての自由を有しています。

契約が進行した段階で契約拒否をすると損害賠償を求められる可能性も

まず契約を締結するかどうかについては、家主の自由な判断に委ねられています。これを契約由由の原則といいます。したがって家主が、この人は気にくわないと思えば、契約を締結しないことも許されます。
しかし契約自由の原則といっても、全く無制限に認められるものではありません。人権侵害、その他の違法行為が許されないことは当然といえます。
ご質問は、外国人であることを理由に契約締結の拒否が許されるかどうかということであり、これは不合理な差別(憲法14条)に当たるかどうかという問題です。
もし外国人であることを理由に、契約内容に差別を設けることがあれば、不合理な差別として、その差別条項は無効となる可能性があります。しかし契約を締結するかどうかの段階で、外国人であることを理由に契約を拒否しても、不合理な差別となるわけではありません。
ただし、ある程度契約締結に向けて交渉が進展した段階で、借り主が外国人であることを理由に契約締結を拒否した事案で、家主に契約締結上の過失に基づく損害賠償責任を認めた判例がありますので、注意を要します。

不法滞在者でないことを確認するため外国人登録済証明書を提出してもらう

なお外国人との間で賃貸借契約を締結する場合の注意点として、まず、外国人登録済証明書を要求し、いわゆるオーバーステイ(不法滞在)でないことを確認する必要があります。たとえ十分な収入や資力があっても、不法滞在者を入居させることは、後に問題を残すことになります。
また強制退去によって、荷物を残したまま本国に送還されてしまった場合、家主の負担で、事後処理を行わなくてはならなくなりますので、身元のしっかりした日本人を保証人とすることが望まれます。
(Owners誌2004年4月号より)