Q&A

1ヵ月後に退去する約束をしていましたが、1週間前になって、借り主が1ヵ月待ってくれと言ってきました。すでに次の入居者が決まっており、リフォームの予定も決まっています。強制的に出てもらうことはできるでしょうか?

強制的に出て行かせるためには、訴えを提起して判決を得る必要があります。しかし、1週間で判決を得ることは不可能であり、とりあえず話し合いにより、出て行ってもらうほかないでしょう。

借り主には、約束を守る義務がある

1ヵ月後に退去すると約束をした以上、借り主は約束を守る法的義務があります。しかしそれを法的に強制するためには、訴えを提起して判決を得る必要があります。
ところが一般に、訴えを提起してから第1回目の公判が開かれるまでに、少なくとも1ヵ月以上の期間がかかります。その後も、公判は1ヵ月から1ヵ月半おきくらいに開かれ、判決までには最低でも、半年くらいかかると覚悟しておいたほうがよいでしょう。さらに判決をもらっても、借り主が居座る場合には、建物明け渡しの強制執行をする必要があり、そのためにも1,2ヵ月程度期間がかかってしまいます。
しかし、本件では、既に、新しい入居者も決まっており、リフォームの予定も決まっているというのですから、とてもこれだけの長い期間をかけるわけにはいきません。

賃料の2倍相当額の違約金を請求できる

そこで本件では、借り主との話し合いによって、何としても退去してもらうほかには方法がないでしょう。
その際、借り主に対して以下のような説明をする必要があります。期日までに退去する法的義務のあること。期日までに退去しなければ契約違反となること。また通常、賃貸借契約書には明け渡し義務の不履行の場合には、過怠約款として通常の賃料の2倍相当額の違約金を支払う旨の特約が定められていること。そして期日までに退去しなければそのような違約金を支払う義務が発生することなどを説明をすることなどです。
期日までに退去しなければ、借り主自身が、このような著しい不利益を被ることを理解してもらうことが重要なポイントになります。
(Owners誌2004年2月号より)