Q&A

家賃を5カ月も滞納している借家人がいます。物件の管理を依頼している不動産業者が保証会社と契約をしているため、家賃は保証されます。しかし私はこのような借家人には退去を求めたい気持です。その際、家主として注意すべきことは?

保証会社が家賃を代位弁済したあとでは、契約解除ができなくなるという問題があります。

手続きの順序を間違えると、退去してもらえなくなる

最近、保証会社に滞納家賃を保証してもらうというケースが増えています。保証会社をつけること自体は何の問題もありませんが、運用を間違えると大変なことになりかねません。保証会社に任せるにしても、家主として以下の点を知っておくべきです。
保証会社をつける最大の利点は、家賃滞納があった場合、保証会社に代位弁済してもらうことで家賃の回収が図れるという点です。しかし、ここで気をつけたいのは、保証会社に滞納家賃を代位弁済してもらうと借家人の債務不履行状態が解消されるため、借家契約を解除できなくなることです。判例も同様の見解です。
したがって、家賃滞納が続く借家人に退去してもらいたいなら、先に債務不履行に基づいて借家契約を解除し、退去後に保証会社に滞納家賃を代位弁済してもらうという形をとらなくてはなりません。この順番を間違えると、取り返しがつかなくなりますので注意してください。

家賃の取り立ては、法的な手続きを踏んで

保証会社を立てる際、もう一つ、家主として知っておきたいことがあります。それは滞納家賃の取り立てには、問題が発生する可能性があるということです。弁護士法72条では、弁護士以外の者が報酬を得る目的で「法律事務」を取り扱うことを禁止しています。それは、弁護士以外の者に法律事務の取り扱いを認めることによって、素人が食い物にされることを防止するための規定です。
保証会社が借家人に対して滞納家賃の請求書を送付することは業務の一つであり、問題はありませんが、何度請求してもらちが明かないため家賃の取り立てを行なう際には注意が必要です。明確な線引きはむずかしいのですが、「法律事務」と見なされる行為を行なった場合は、弁護士法に違反することになります。
家賃滞納が続く場合、まずは内容証明郵便を送ることになりますが、それでもらちが明かない悪質な場合は弁護士に依頼し、法的手続きを踏んで解決するのが得策です。
(Owners誌2009年8月号より)