Q&A

ペット可のマンションを経営しています。ペット飼育による汚損・破損の補修費用を敷金から控除することはできるでしょうか?

ペット飼育を原因とする通常の損耗に関する補修費用については賃貸人が負担し、それを超えるものについては賃借人が負担します

ペット可の借家の場合、飼育による汚損・破損は通常損耗と判断される

賃借人が借家から退去する際の原状回復費用は、通常の使用を超える損耗に限って賃借人の負担となるというのが原則です。それでは、ペット飼育を認めている借家を退去する際の原状回復費用については、どのように考えればよいでしょうか。
この点、ペット不可の借家であれば、ペットを飼育すること自体が契約違反となり、飼育によって生じた損耗は、賃借人の故意・過失による損耗または通常の使用を超える損耗に当たることになり、賃借人がその補修費用を全額負担することになります。
しかし、ペットの飼育が許されている場合には、ペット飼育による汚損・破損が生じることは当然予想されることですので、通常の使用による損耗に当たると考えられます。従って、家主側がその補修費用を負担することになります。

トラブル防止のために損耗の負担について細目を定めておこう

一方、ペットの管理が不十分であったことにより生じた損耗であれば、通常の使用を超える損耗に当たるため、賃借人がその補修費用を負担することとなります。しかし、実際問題としてはペットの飼育・管理が十分であったかどうかの区別は難しく、家主と賃借人の意見の対立が予想されます。
そこで、このようなトラブルを事前に防止するためにも、ペットの飼育に関する規則を定めておくと同時に、ペット飼育による損耗のうち、家主と賃借人それぞれが負担する項目を具体的に細かく定めておくことが重要となります。賃借人が負担する項目や箇所が限定されていれば、こうした特約は有効であると解されます。
しかし、たとえば「ペット飼育による損耗については全て賃借人が負担する」というように、賃借人が負担する項目や箇所を限定せず、明確にしていない場合は、その特約は消費者契約法10条に違反するものとして無効となる可能性がありますので、注意が必要です。
(Owners誌2009年9月号より)