Q&A

3年ごとに契約を更新していますが、その際、家賃の1カ月分を更新料として支払うことを契約書に明記しています。最近、更新料の定めは消費者契約法に反するとして、無効の判例が出たという記事を新聞で見ましたが、私の場合も無効になるのでしょうか?

更新料の定めが明確になっており、更新料の額も不当に高額なものというものではありませんので、消費者契約法に反することはないと考えられます。

更新料の法的解釈は、「家賃を補充するもの」

 更新料は、賃貸契約書において、「1、2カ月分の家賃を更新料として支払う旨」を定めるのが一般的です。
しかし、民法、借地借家法、その他の法律にも更新料という概念は存在していません。にもかかわらず、更新料を定めるのは一体どういうことなのでしょうか。
一般に、更新料の法的性質については、家賃を補充するものと考えられています。すなわち、賃貸面積に対して家賃が一般相場より低額の場合、その分を更新料として支払ってもらうことで、家賃を補充するものだということです。また、賃貸期間が長期に及んでいる場合には、更新拒絶権放棄の対価ないし賃借権強化の対価という性質もあると考えられています。

消費者契約法に違反と判断された場合は
過去に受け取った更新料も返還することに

ところで、平成13年4月1日に施行された消費者契約法第10条では、「消費者の権利を制限し、または消費者の義務を加重する」ような契約条項で、「公序良俗に反して消費者の利益を一方的に害するもの」である場合は、無効とされています。そのようなことから、更新料の定めも、上記のような消費者契約法第10条の規定に抵触するのではないかと議論されるようになりました。
そして、たとえば賃貸期間が1年と短く、更新の度に高額な更新料、(たとえば家賃の3、4カ月分)を別途支払うという定めをしているような場合には、本来支払わなくてもよい支払いを義務づけ、「消費者の義務を加重する」ものであり、しかも、「消費者の利益を一方的に害する」ため、更新料の定めは無効になるとするものです。
その場合、過去に支払った更新料も、本来支払わなくてもよいものと解釈されるため、家主は過去に受け取った更新料を全て返還する必要があります。
しかし、本件では賃貸借期間も3年であり、更新料の額も家賃の1カ月分ということですので、消費者契約法に抵触することはなく、更新料の定めが無効と判断される可能性は低いと考えます。
(Owners誌2010年2月号より)