Q&A

アパートの一室から悪臭がしており、他の住人から苦情が出ています。様子を見に行ったところ、部屋の中はゴミが天井に届かんばかりになっていました。何度注意しても改善されません。どうしたらよいでしょうか?

賃貸借契約を解除して、建物から退去してもらうべきです。

どの程度の「悪臭や騒音」で「用法遵守義務違反」といえるのか?、

 賃借人は、契約または目的物(借家)の性質によって定められた用法に従って、使用すべき義務を負っています(民法616条・594条1項)。そして、判例・通説によれば、賃借人が用法遵守義務に違反し、賃貸人との信頼関係が破壊されるに至った場合、賃貸人は賃貸借契約を解除することができると解されています。
 しかし、悪臭や騒音といった近隣トラブルの場合、信頼関係が破壊されるに至ったといえるかどうかについては、非常に慎重に考えられています。
 なぜなら、悪臭や騒音と一口にいっても、その内容・程度は個々の事情によって異なり、また、人によっても不快と感じる程度が異なるため、果たしてどの程度の悪臭・騒音があった場合に、信頼関係の破壊に至る「用法遵守義務違反」といえるのか、判断が難しいところだからです。
 大家さんとしては、その悪臭・騒音が耐え難いと感じていたとしても、住人は全く問題ないと考えていることもあり、このような認識の違いをどのように解決するかは極めて難しいといえます。

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 しかし、ご質問のケースでは、ゴミ屋敷となっており、しかも、大家さんから何度も注意されているにもかかわらず改善しないということですので、賃貸人と賃借人との間で賃貸借契約を継続していくに足りる信頼関係は、著しく破壊されたと判断してよいと考えます。
 ところで、大家さんとしては、近隣への迷惑行為をする賃借人を放置せずに退去させることは、以下の点で非常に重要なことです。
 つまり、このような住人を放置することにより、迷惑を被っている他の住人が退去してしまう恐れがあること。さらに最近では、他の賃借人や近隣の住民が、迷惑行為をする賃借人を退去させないことを理由に、大家さんに対して損害賠償等の訴訟を起こすケースが出ています。  苦情があれば迅速に対応し、努力してもだめな場合は早急に退去に向けて手続きを進めるのがよいでしょう。
(Owners誌2011年3月号より)