住まいのひとくちコラム

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マイホームを買ったら忘れず確定申告

昨年マイホームを買った人は住宅ローン控除に注目

マイホームを購入すると、不動産取税、登得録免許税、印紙税、固定資産税などなど、さまざまな税金がかかります。でも、税金は支払うばかりではありません。一定の条件に合う人が、確定申告をすると所得税などが戻ってくることもあるのです。毎年2月16日から3月15日まで は確定申告の時期。いまや真っ最中です。この時期を逃さないように、自分が関係ないか、あらためて確認してみましょう。

確定申告は税金を取り戻すチャンス!

マイホームにかかわる申告で大きなものは「住宅ローン控除」と「マイホーム買い換えの場合の譲渡損失の繰越控除」です。

まず「住宅ローン控除」。正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。これは住宅ローンの借入金残高の1%を10年間に渡って所得税から控除するという制度。サラリーマンなど、所得税を源泉徴収されている場合は、確定申告することで控除された分の税金が戻ってくるのです。

図1.住宅ローン控除に必要な書類

書類の種類
提出する申告用の書類 所得税の確定申告書A
住宅借入金(所得)等特別控除の計算明細書
添付書類または申告書の記入に必要な書類 給料所得の源泉徴収票
住宅所得資金に係る借入金の年末残高証明書
売買契約書・請負契約書
登記簿謄本
住民票の写し

適用する条件は、返済期間が10年以上の住宅ローンを借りてマイホームを購入し、6カ月以内に入居して年末まで引き続き住んでいること、購入した住宅の床面積が50m2(登記簿面積)以上あること、など。

また、図1に示したような書類が必要です。申告書関係は税務署で、その他の書類は勤務先、住宅ローンを借りている金融機関など複数になりますので、用意するのに時間がかかります。ある程度の余裕をもって準備しておきましょう。

サラリーマンの場合、住宅ローン控除について確定申告を一度すると、翌年以降は年末調整で済ませることができます。

自宅を売って赤字になったら「譲渡損失の繰越控除」

次は「マイホーム買い換えの場合の譲渡損失の繰越控除の特例」です。自宅を売却して赤字(譲渡損)が出た場合は、その赤字を給与所得など他の所得から控除することで所得税や住民税を安くすることができますが、この特例を使うと、売却した年に控除しきれなかった赤字を3年間にわたって繰越控除できることになっています。

図2.譲渡損失の繰越控除に必要な書類

書類の種類
提出する申告用の書類 譲渡所得の内訳書
所得税の確定申告書B
所得税の確定申告書(分離課税用)
所得税の確定申告書(損失申告用)
居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書
翌年以降に繰り返される特定居住用財産の譲渡損失の金額の計算書
添付書類または申告書の記入に必要な書類 自宅購入時の売買契約書
購入時の諸費用の領収書等
自宅売却時の売買契約書
売却時の諸費用の領収書等
住宅ローンの残高証明書
登記簿謄本
住民票の写し

適用条件は、売却する住宅の所有期間が5年以上で、売却した翌年までに床面積が50m2以上の住宅に買い換えること、自宅と買い換え先に住宅ローンを使っていること、などです。昨年中に買い換えた人、あるいは自宅を昨年売って今年中に購入する予定の人は、条件に合うかどうかを確認しましょう。来年度の税制改正では、買い換えをしない場合でも繰越控除を受けられる新しい特例が創設される予定ですが、今年度までは、買い換えをした人に限定されることに注意してください。

こちらも図2のようなたくさんの書類が必要になります。また、繰越控除を受ける場合は、翌年以降も毎年確定申告をしなければなりません。

ところで、売却して黒字が出た場合は、その売却益に対して譲渡税がかります。自宅の所有期間が長い人はこういうケースもあるでしょう。この場合には「3,000万円特別控除」などの特例が利用できます。また、マイホームを購入する時に親から資金援助を受けた場合、「住宅取得資金贈与の特例」を使うことで贈与税を節税できます。この特例を受けるためにも申告が必要ですが、贈与税の申告期間は2月2日から3月15日まで。所得税の確定申告の時期と重なっていますので、併せて検討しましょう。

マイホームを買ったとき、売ったときに赤字が出ても黒字になっても、何らかの特例が利用できるかもしれません。まずは税務署に相談してみるといいでしょう。