Q&A

賃貸借契約書に記載をしても認められない規定があると聞きましたが、それはどのような規定でしょうか?

「強行法規」に違反する規定は認めれられません。
しかし、無効を承知の上で契約書に記載しておく意味があります。

特約を定めていても無効になる「強行法規」とは?

原則として、賃貸人は契約の内容を自由に定めることができます。これを契約自由の原則といいます。しかし、法律のなかには、ある一定の規定に反する特約を認めないものがあります。このような法規を「強行法規」といいます。借地借家法では、借地人および借家人を保護するために、一定の規定を「強行法規」として定め、それに反する特約を無効としています。ではどのような特約が無効となるのでしょうか。主なものは以下のとおりです。
1.「賃貸人の要求があれば、いつでも無条件で解約できる旨の特約」は法第27条に違反するため無効となります。
2.「契約を更新しない旨の特約」は、法第26条および28条に違反するため無効となります。
3.「契約終了時に立退料等は一切請求しない旨の特約」は法第28条に違反するため無効となります。
4.「契約期間を半年とする特約」は、法第29条に違反するため無効となります。

それでも特約を設けておくことには意味がある

それでは、このような「強行法規」に違反する特約を賃貸借契約で定めることは一切許されないのでしょうか?「強行法規」に違反する特約が無効である以上、原則として、そのような特約を定めるべきではないとも考えられます。しかし、「強行法規」に違反する特約であっても、賃借人が任意に履行してしまい、後日、賃借人が「強行法規」に違反することを知った場合、さかのぼってその行為が無効であると主張することはできません。その意味で、法的には無効であることを承知の上で、「強行法規」に違反する特約であることが分かっていても、定めておくことには意味があります。たとえば、「賃借人において立退料を一切請求しない」とか、「期間満了をもって賃貸借契約は終了する」といった特約を定めている例をよく見かけますが、このような特約は、確かに無効ではありますが、このような特約を定めておくことには、それなりの意味があるということになります。
(Owners誌2007年5月号より)