Q&A

住居用の目的で賃貸したところ、事務所として使用しています。家賃は、きちんと毎月支払ってくれていますが、人の出入りが激しいのではと、心配しています。いずれは自分で住もうと思っているので、時期が来たら契約を解除したいのですが、どんな対策を講じておけばよいでしょうか?

「黙認されている」と誤解を受けないよう、なるべく早く契約解除の通知を出して、明け渡してもらったほうがよいでしょう。

使用目的違反は、債務不履行となる

まず、使用目的を住居用に制限しているにもかかわらず、事務所として使用することは、使用目的違反となり債務不履行となります。しかし、賃貸借契約の場合、契約違反があったとしても、そのことから直ちに契約を解除することができるというものではありません。
契約違反を理由として賃貸借契約を解除するためには、その違反行為が賃貸借の基礎となっている信頼関係を破壊する程度のものでなければならないというのが判例です。
それでは、使用目的を住居用に制限している場合に、事務所として使用することは、賃貸人との信頼関係を破壊する程度のものといえるでしょうか。

家賃を受け取ると黙認したと誤解される…

この点、判例は概して、事務所として使用することは、居住用として使用する場合に比べて、家主の受ける損害が大きいといえるので、原則として、信頼関係を破壊する程度の契約違反があったものとして、契約を解除することができると解しています。
ところで、ご質問のケースでは、時期が来たら契約を解除したいとお考えになっているようですが、使用目的違反の事実を知りながら、長期にわたり家賃を受領してしまうと、事務所として使用することを黙認したのではないかと誤解されかねません。
従って、できるだけ早期に契約解除の通知を出しておく必要があります。また契約解除後の家賃については、使用損害金として受領する旨、通知しておくとよいでしょう。
(Owners誌2003年10月号より)