Q&A

1年以上も家賃を滞納している借家人がいます。契約を解除したいと思うのですが、その手続きについて教えてください。

期間を定めて契約解除の履行を催告するなどの手続きが必要であり、そのような手続きをふまないと解除は無効となります。

契約解除の履行に必要な猶予期間は?

賃貸借契約を解除するためには以下4つの要件を満たす必要があります。まず、当然のことですが、家賃不払いの事実が必要となります。どの程度の家賃不払いの事実があれば解除原因になるかについては議論のあるところですが、1年以上も滞納しているなら、問題なく解除原因となるでしょう。次に、「相当の期間」を定めて家賃支払いの催告をする必要があります。これは、賃貸借契約が家主と借家人との信頼関係に基づくものであることから、借家人に対して再度、機会を与えてあげようとするもので、最後通告としての意味を持つものだからです。ただし、借家人は状況からして、家賃の支払いが遅滞しているわけですから、当然すでに支払い準備ができているものとして、支払い完了に必要な猶予期間を与えるだけでよいと解されています。「相当な期間」については、判例上、3日間でよいとするものが多いようですが、実務上は1週間とする場合が多いようです。

契約解除の催告は、内容証明郵便で

3番目の要件は、催告期間内には解除を履行しないことです。しかし、催告期間経過後1日遅れで家賃を支払ったケースでは、当事者間の信頼関係が破壊されたとはいえないとして解除を認めなかった判例もあります。また、当然のこととして、解除の意思表示を行なう前に履行されていれば解除は認められないのが通説・判例です。4番目の要件は、解除の意思表示を行なうことです。ただし、催告期間内に支払いがなかった場合は、わざわざあらためて解除の意思表示をする必要はありません。一般的には、「1週間以内に延滞賃料を支払わない場合には、契約を解除します」という形で、期間経過後に解除することを明記して催告を行ないます。これで、契約解除の意思表示がなされたことになります。最後に、これらの手続きは必ず内容証明郵便で行なっておく必要があります。後日、解除が有効になされたことを証明する大事な証拠となります。
(Owners誌2008年6月号より)