Q&A

借家人が家賃を滞納するので、保証人に連絡したところ、署名した覚えがないと言われました。確かに、契約の署名は保証人の字ではないようです。このような場合、保証人に請求することはできないのでしょうか?

保証人の字でなくても、保証人に請求することができる場合もあります。

委任状や口頭で許諾していた場合には保証人は保証債務を負うことになる

保証契約が成立するためには、保証人の保証意思がなければなりません。したがって保証人となろうとする者が、みずから契約書上に署名するか、そうでなければ、保証人の名前を契約書上に署名する権限(代理権)を第三者(入居者本人であるケースが多い)に与える必要があります。ご質問のケースで、保証人が契約書上の字が自分の字でないことを証明してきた場合、大家さんのほうで、保証人が第三者に代理権を与えていたことを立証する必要があります。
たとえば保証人が第三者に白紙委任状を渡していたことを証明できれは、保証契約は有効となり、保証人に責任を負わせることができます。また委任状などが存在していなくても、たとえば口頭で許諾していた場合も、保証人は保証債務を負うこととなります。しかしそれらが立証できなければ、保証人に責任を負わせることはできなくなってしまいます。

トラブルを避けるために保証人に面談するか、印鑑証明書を提出してもらう

このように、契約書上の署名が保証人の字でなかったとしても、保証人が保証人としての責任を負う場合がありますが、事前に、このようなトラブルを回避するためにも契約締結時に、きちんと保証人の保証意思の存在を確認しておく必要があります。
具体的には、保証人になってもらう人に面談して、保証意思を確認することが最も確かな方法ですが、それができない場合には、保証人となってもらう人から印鑑証明書を提出させる方法が有効だといえます。
印鑑証明書は原則として、本人でなければ取り寄せることができませんので、契約書に捺印された印鑑と印鑑証明書上の印鑑とが同一であれば、保証人の保証意思を確認することができるからです。
(Owners誌2004年8月号より)