Q&A

外国人にアパートの1室を貸したところ、いつのまにか多数の外国人が同居するようになりました。借家契約を解除して借家を明け渡してもらうことはできるでしょうか?

部屋の広さや同居人の人数など諸事情を総合して、信頼関係が破壊されたといえるかどうかによって対処の方法は異なります。

大人数が同居すると、建物は傷みやすくなり管理コストもかかる

外国人、特にアジア系の外国人がアパートの1室を借りて、次々に仲間の外国人を連れてきて、多数の外国人が同居するということは最近珍しくないこととなっています。このような外国人には、不法入国したりオーバーステイの人も多く、突然の強制退去などにより、残された荷物の処理に困ったり、滞納している家賃の取り立てが不可能になったりと、さまざまな問題が生じています。
このような外国人特有の問題を除いても、多人数が同居するようになれば、建物が傷みやすくなったり、管理が行き届かなかったり、他の居住者に迷惑をかけたり、管理コストがかさんだりと、困った問題がいろいろ生じます。

特約がなくても、常識を超えていたり不法滞在などがあれば契約解除できる

そこで賃貸借契約書において、単身居住者に限るとか居住者は2名に限るなど、居住者の人数を制限する特約を定めていれば、その制限に違反した人数を居住させているとして、賃貸借契約を解除することができます。
ただしそのような特約があっても、賃借人が結婚したり子供が生まれるなどして同居人が増えた場合まで、契約解除することはできないことに注意してください。
一般的には賃貸借契約書において、このような人数制限をあらかじめ定めているケースは少なく、当然、その場合は賃貸借契約を解除することはできません。しかし特約を定めていなくても、たとえば6畳一間に常識を超える多数の人が同居しているとか、不法入国・滞在などによって家宅捜査を受けた場合など、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されたとして、賃貸借契約を解除することができます。
(Owners誌2005年7月号より)