Q&A

最近、比較的少額の金銭の支払いを」請求する場合であれば、だれでも簡単にできる裁判制度ができ、利用する人が増えていると聞きました。どのような制度であるか教えてください。

60万円以下の金銭の支払いを求める場合には、簡易裁判所に訴えを提起する「少額訴訟」という制度があります。

「少額訴訟」は1回の審理で、その場で判決が下される

60万円以下の金銭の支払いを求める訴訟(たとえば延滞家賃請求)については、簡単に早く解決するための制度として「少額訴訟」という制度があります。扱っているのは、最寄りの簡易裁判所です。
定型の訴状や答弁書の用紙が簡易裁判所に備え付けられていますので、それに必要事項を書き込んで申請するだけで、誰でも簡単に利用することができます。少額訴訟は原則として1回の審理で終結し、その場で判決が下されます。したがって、何か証拠を提出したいとか、証人を呼びたい場合には、当日それらを用意して、その場で取り調べてをしてもらえるようにしておく必要があります。
少額訴訟の判決では、分割払いや支払いの一定期間の猶予も認められています。しかし、判決に不服があっても地方裁判所への控訴は認められていません。もし、判決に不服があれば、判決を下した簡易裁判所への異議申立をすることになります。

60万円を超えると、「少額訴訟」はできない

ところで原状回復に関わるトラブルの場合、相殺された敷金が一般的に60万円以下の場合が多いことから退去者がこの少額訴訟の裁判を利用して、敷金返還の支払いを求めるケースが増えています。そこで、大家さんとしても十分、この制度を理解しておく必要があります。
金額が60万円を超える場合には、少額訴訟の制度を利用することはできず、通常の訴訟制度を利用することになります。ただし、請求金額が120万円以下の場合であれば、地方裁判所ではなく、簡易裁判所に訴えを提起することになります。少額訴訟ほどではありませんが、地方裁判所よりは比較的簡易な手続きで裁判を行なうことが可能となります。
また、少額訴訟の制度をあえて利用するため、請求金額が60万円を超えていても、その全額ではなく60万円のみを請求することで、少額訴訟を利用することも可能です。
(Owners誌2005年5月号より)