Q&A

2人の男女にアパートの一室をルームシェアとして貸していたのですが、知らないうちに結婚して子供が生まれていることがわかりました。子供不可にしている物件なのですが、契約を解除することができるでしょうか?

借家人の私生活の自由を制約するとして、契約解除の申し入れは認められません。

特約を結んでいても、「不当な干渉」として公序良俗違反と見なされる

保借家人が結婚をして子供をもうけると、子供の騒音(泣き声、ドタバタ歩く音等)で他の人居者に迷惑をかけたり、子供が借家に傷をつけたりすることから、このような事態を事前に避けるために、「子供が生まれたら明け渡す」という特約を結ぶことがあります。
しかし、このような特約を有効とすると、借家人は結婚をして子供をもうけるという自然な結婚生活を送ることが困難となります。したがって、このような特約は、私生活に対して不当に干渉するものといえるので、公序良俗(民法90条)に違反するものと解されています。また、借地借家法上も、借家人に不利な特約として無効と解されます(同法30条)。

独身者専用の物件なら合理性が認められ、契約解除も可能

このように借家人が特約に違反して、結婚して子供ができても契約を解除することはできませんが、子供が借家を傷つけたりした場合には保管義務違反・用法義務違反があったものとして、損害賠償の請求をしたり、場合によっては契約を解除することもできます。
一方、もともとそのアパートが独身者専用のアパートであった場合には、「子供が生まれたら明け渡す」との特約も有効であると解されています。入居者も、そのような特約条項をアパートの付加価値と考えて入居しているのですから、特約に合理性が認められるのです。
したがって、独身者専用のアパートであれば、子供ができたことがわかった時点で、直ちに契約を解除して借家の明け渡しを求めることができます。
(Owners誌2004年10月号より)