Q&A

最近貸家を購入しました。あるとき、借家人がペットを飼い始めたので注意したところ、前の家主から、ペットを飼ってもよいと言われていたといいます。前の家主からは、そのような話を聞いていませんでした。それでも、ペットを飼うのを認めなくてはならないのでしようか。

前の家主との間で約束している以上、借家人がペットを飼うことを認める必要があります。

内容を知らされていなくても前の家主との特約は継承

そもそも、貸家を購入して新しく家主となった場合、前の家主が借家人との間で約束した特約の内容を守らなければならないのか疑問をお持ちの大家さんが少なくないことと思います。
法律では、貸家を購入した者は、賃貸人としての地位を承継すると解されていますので、前の家主が借家人との間で約束した特約を承継することになります。
それでは、貸家を購入する際、前の家主から借家人との間で約束した特約の内容を知らされていなかった場合でも、前の家主が借家人との間で約束した特約を承継することになるのでしょうか。
前の家主が約束した特約が、すべて承継されるものとすれば、前の家主から何も知らされずに貸家を購入した者は、不測の不利益を被ることになります。

借家人に不利益を負担させることはできない

しかし、最高裁の判例によれば、貸家を購入した際、たとえ特約の内容を知らされていなかったとしても、その特約を承継し、それによって受ける不測の不利益は、前の家主との間で解決させるべきであり、借家人に、その不利益を負担させることはできないと判示しています。
したがって、ご質問のケースでは、前の家主が、ペットを飼ってもよいとの約束をしていた以上、たとえ、そのことを知らされていなかったとしても、借家人がペットを飼うことを拒むことはできないということになります。
新しい家主さんがペット禁止にするためには、新しい入居者と賃貸契約をするときから個別に禁止にして、だんだん全面的に禁止にしていくしかありません。
ペットが嫌いな人もいますから、集合住宅の場合は、新しい入居者に事情をよく説明し、ペットを飼っている人がいることもきちんと説明することが大切です。
(Owners誌2003年7月号より)