Q&A

借家人から、ピッキングされにくい鍵と交換してほしい、交換してくれないなら自分で交換すると言われました。どのように対応したらよいでしょうか?

法律上は、家主に鍵を交換する義務はありませんが、借家人が自ら鍵を交換することを拒否することはできません。

借家人から頼まれれば、家主は鍵を交換しなくてはならないか

最近、ピッキングの被害が多発しています。そのため、ピッキング被害を受けにくい鍵の開発も進んでおり、様々な種類の鍵が売られています。このようなことから、借家人が、家の鍵をピッキング被害を受けにくいものにしたいと考えるのは当然のことです。
それでは、借家人から、ピッキングされにくい鍵と交換してほしいと頼まれた場合、家主は、交換しなければならないのでしょうか。この点、家主には、使用収益に必要な修繕をなす義務があります。しかし、いくらピッキングの被害が多発しているといっても、ピッキングの被害を受けにくい鍵にすることが使用収益するうえで、必ず必要なものであるとまでは言えないでしょう。従って、家主には、ピッキングされにくい鍵と交換する法律上の義務まではないと考えられます。

借家人が自ら鍵の交換を行った場合費用負担の義務はない

それでは、借家人から、家主が鍵を取り換えてくれないのなら、自分のほうで取り換えると言われた場合、借家人が自分で取り換えることまで拒否することができるのでしょうか。それは、できないと言えます。もっとも、借家人がその取り換え費用を負担して欲しいと言ってきた場合、家主さんにその費用まで負担する法律上の義務はありません。
以上が法律上の結論ですが、現在のような社会状況のなかでは、借家人が 安心して暮らせるよう、家主の負担でピッキングの被害を受けにくい鍵に取り換えることも、家主と入居者の信頼関係を築いていくうえで必要なことではないかと思います。
(Owners誌2003年3月号より)