Q&A

何度申し入れても「騒音」が改善されないため、借家を明け渡してもらいたいと考えています。3 カ月前に予告すれば賃貸借契約を解約できるという特約を設けているのですが、それに基づいて契約を解除することは可能でしょうか? そもそも、法律は契約期間について、どのように定めているのでしょうか。

そのような特約は無効であり、契約を解除することはできません。

「期間1年未満」は、期間のない契約と見なされる

 特約が有効か否か考える前に、建物賃貸借契約の期間について、法律がどのように定めているか見てみましょう。
 まず、「長期」の契約期間についてですが、民法は最長で20年を超えることができないと定めていますが(民法604条)、借地借家法29条2項により、この民法の規定は建物賃貸借には適用されないこととされ、50年でも100年でもよく、事実上制限がなくなりました。次に、「短期」の契約期間については、借地借家法29条1項により、1年未満の定めをした場合には、期間の定めのない賃貸借契約とみなされます。つまり、3カ月や6カ月では、期間の定めのない契約とみなされることになります。
 以上を前提にして、賃貸人からの解約の申し入れの効力について考えてみたいと思います。

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6 カ月の予告期間があれば、解約は可能だが…

 まず、期間の定めのない契約の場合、賃貸人はいつでも解約の申し入れが可能であり、申し入れの日から6カ月を経過すると賃貸借契約は終了します(借地借家法27条)。しかし、ご質問のケースでは予告期間が、6カ月に満たないため、賃借人に不利益な特約として無効となります。 一方、6カ月の予告期間があった場合は解約が可能となりますが、賃借人が解約を望まないときは、正当な事由がない限り解約の効力はないものとされています。
 では、期間の定めがあった場合はどうでしょうか。たとえば期間を2年と定め、同時にご質問のケースのように3カ月の予告期間で解約可能という特約を設けたとします。
 この場合、予告期間が3カ月ですから、やはり解約は認められず、実質的には期間の定めのない契約と同様となります。つまり、解約の効力が認められるには6カ月の予告期間が必要と考えられます(正当事由が必要)。
 一般的に、契約期間を定め、中途解約できる旨の特約を設けていても、賃借人に不利益なものとして、借地借家法30条により無効と解されるといえます。判例も同様です。
 引っ越しシーズンのこの時期、賃貸人は後のトラブルを防ぐため、賃借人に契約書の条項について、書面だけでなく口頭でも説明をされることをおすすめします。
(Owners誌2011年2月号より)